心理学入門

自殺の心理の裏には心の病気がある?心理療法についてもご紹介します

わたしは、過去にうつ病の初期症状の時期がありました。まったく気分が晴れず、味覚もなくなり何もする気になれず、それでも仕事だけは続けていました。

バイクで通勤していたのですが、当時の悩みごとを考え「ボーっと」運転していた時、前を走っていた車に突っ込みそうになりました。

「このままでは、いつか死んでしまう…」そのことがキッカケでSNSを見るのをやめたり、生活を改善し現在は平穏に暮らしています。

詳しくはこちらからご覧ください

うつ病の初期症状 自分の心の変化に早く気づいて!私の例をご紹介

自分のつらい経験や、以前から興味もあったので心理学を深く学ぶようになり「自殺とうつ病は関係してるのでは?」と思い調べてみました。

うつ状態のひとは、自分が「うつである」と気づいてない可能性が高いです(わたしもそうでした)

自覚できれば改善し、再び平穏な暮らしを過ごせるようになります。

自殺の深層心理を知り、治療が必要であれば施設を利用しましょう。また、まわりで「何か最近あのひと様子が変だな?」と気づくことも大切です。

自殺の深層心理を探る

真っ黒な人影

Free-Photos / Pixabay

 

精神医学者のメニンガーによれば「自殺者の心理には3つの要素」が入り交じっているといいます。

  1. 死にたい欲求…絶望感、落胆、疲労など慢性的に生じてくる欲求
  2. 殺したい欲求…敵意、復讐心を自分と密接な関係を持つ人に抱き、表に出さず内的葛藤を抱えています
  3. 殺されたい欲求…自責感、罪悪感などの感情で、死んでお詫びするなどがこれにあたります

自殺者の遺書を分析したシュナイドマンの研究では、青年の自殺者は「殺したい欲求」の占める割合が高く、高齢者の自殺者には「死にたい欲求」が強く認められることを指摘しています。

自殺未遂者の多くは青年に占められるようです。

青年の自殺は「憧れ自殺」と呼ばれることもあるように「生死をかけて再生への望みを残そう」とする逆説的な心理が読みとれます。高齢者に多いあきらめ自殺とは異なり、一方で「助けてほしい」という願望が残されているといえるでしょう。

 

自殺者の半数はサインを送っている

自殺を考えている人は、孤独感・疲労感・絶望感・不安感などに陥っているため「口数が急に減る」などの態度になってあらわれやすいものです。

自殺者のサイン

  • 「生きるのが嫌になった、死にたい」と口走る
  • 身辺整理をはじめる
  • 形見分けをはじめる(大切にしていた物を身近な人にあげる)

以上のような行動が見られます。

自殺者の60%は自殺未遂歴を持っていて、はじめて自殺を実行した人でも、その半数は「なんらかのサインを送っている」といいます。自殺を防ぐには、これを救助を求める叫びとして見逃さないことが重要ではないでしょうか。

 

心理療法について

男性が夕焼けをみて瞑想している

brenkee / Pixabay

 

心の悩みや問題を抱えている人に対して、専門的な訓練を受けた臨床心理士やカウンセラーが、心の負担を軽くするために行う心理的治療やその技法を「心理療法」といいます。

薬物・外科・物理・身体的療法などの医療的手段以外のものをさし、原則的に診断よりも療法(治療)を大切にしています。

心理療法は大きく2つに分けられます

  1. 個人療法…治療者と患者(クライアント)とが1対1で行う治療です(代表例 精神分析療法、行動療法、森田療法など)
  2. 集団療法…患者の家族や同じ悩みを持つ患者同士による計画的、組織的な集団組織の中で痛みを分けあい、共感しながら治療に取り組む方法です(代表例 アルコール依存症患者と回復者による集団療法など)

現在、行われている心理療法にはさまざまなものがありますが、そのうちの主なものを紹介しておきましょう。

精神分析療法

神経症の治療法として、1885年にフロイトが提唱した療法です。

治療法としては

  • 自由連想法…患者の頭に浮かんだことをすべて話してもらう
  • 行動、夢分析…不自然な判断や言動を対象とする

以上の治療により、患者の無意識に抑圧されている欲求や葛藤「不安要素が何であるかを患者自身に気づかせ」その原因を克服することを目的としています。

フロイトの考えをさらに無意識について掘り下げたのがユングです。ユングの考え方は日本人の歴史や環境と相性が良いと個人的に思い、当サイトでおすすめしています。

心理学は面白い!ユングの心理学の基本を学ぶなら「無意識の構造」河合隼雄著

 

クライエント中心療法

ロジャーズにより創始された心理療法です。

ロジャーズは、治療者はいたずらにクライエントに指示的な介入をすべきではなく、クライエントを中心にすえた態度で治療を行うべきだと主張しました。

治療者のとるべき3つの態度

  1. 無条件の肯定的配慮…クライエントの状態や言動を、どんなものであろうともあるがままに受け入れる
  2. 共感的理解…クライエントの主観的世界をあたかも自分のものであるかのように感じ取る
  3. 純粋性…治療者がクライエントに対してありのままの自分を見せる

また、うなずきやあいづち、あるいは適切な言葉でクライエントの気持ちをまとめるなどして、治療者が共感的な理解を得ていることをクライエントに伝えることが重要となります。

行動療法

アイゼンクは行動療法を「人間の行動と情動とを現代学習理論の諸法則にしたがって改善する試み」と定義しています。

学習理論では、不適応行動は誤った学習の結果として形成されたか、適切な学習が不足した状態で起こったものと考えます。

そこで行動療法では

誤った学習で形成された不適応行動(適切な学習不足)→学習理論による消去→正しい再学習で行動修正を行います

代表的なものに、ウォルピによって考えられた「系統的脱感作法」があります。

*系統的とは「段階的に」の意味で、脱感とは「敏感でなくする」の意味

不登校の子供が

  1. 今日はあの信号まで
  2. 明日は校門まで
  3. 次の日は保健室まで

という具合に、少しずつ訓練して学校へ行けるようになるのがこの方法です。

認知行動療法

認知行動療法は、行動療法と認知療法の2つを源流として成立してきた療法です。

セルフモニタリング法をはじめとするホームワークにより、自ら日常生活を観察し、感情・思考のパターンに気づき、変化へのきっかけをつくることを目指しています。

わたしが自分で「うつの初期症状を克服した」のは無意識に認知行動療法を行なっていたと思われます。

自分のストレスの原因であるストレッサーを認識し、それから離れることで改善できました。

ゲシュタルト療法理論

アメリカの精神分析家パールズが創始した心理療法です。パールズは、その治療の原理をゲシュタルト心理学の考え方を応用して説明しています。

心理学とは?歴史からみる各国の心理学の発展と普及 有名心理学者をご紹介

 

芸術療法

芸術療法のうち、主として絵画を媒介とする心理療法に絵画療法があります。

アメリカ人のナウンバーグが1966年に始めたスクリブル(なぐり描き)法です。クライエントが自由になぐり描きを行い、治療者が「何か見えてこないか?」と尋ね、見えたものに色を塗り、絵を完成させる方法です。

また、芸術療法にはコラージュ療法、音方療法などもあります。

音方療法については、こちらもご覧ください

心理学と脳の関係性 人間の記憶・視覚・音楽から心への影響について

箱庭療法

砂が6〜7分目入っている54センチ×72センチ×7センチの箱に、ミニチュア(人物、動物、植物、建物、乗り物、怪獣など)を使ってひとつのドラマをクライエントがつくっていく療法を箱庭療法と呼んでいます。

この療法は、1929年にローウェンフェルトによって創始された世界技法が基礎になっています。そして56年にカルフがこの技法を学び、ユング心理学の理論を使って説明し発展させたのが砂遊びでした。

日本では、カルフのもとで学びユング派精神分析家の資格をとった河合隼雄氏が、1965年に箱庭療法としてはじめて紹介しています。

箱庭の中で表現されている世界は単なる静的な場面ではなく、常にクライエントのイメージの中で動いている世界であり、その表現されている世界はクライエントの無意識の世界を投影していることが多くあります。

サイコドラマ

オーストリアの精神科医であったモレノが考案した、即興劇の形式をとった集団精神療法です。

参加者は各々の現実の問題をテーマとして選び、役を交代して劇を演じ、その中での感情の表出、演者と観客との相互交流を通して内面の自己と向かいあい、新しい自分を模索していきます。

遊戯療法(プレイ・セラピー)

遊戯療法は、セラピストが子供との遊びを通して、子供の感情表現を引き出して行う心理療法です。

催眠療法

催眠は言語による暗示によって人為的に引き起こされた意識の変容状態と定義されています。睡眠とは異なり、まどろみ状態に近いものです。

森田療法

森田正馬が1920年頃確立した、神経症の精神療法です。森田は、神経症の患者は内省的で完全主義、そしてよりよく生きたいという「生の欲望」が強く、ささいな身体の変化でも不安を持ちやすい「ヒポコンドリー性基調」であると考えました。

治療は

  1. 最初の1週間は一切の活動禁止(活動意欲への活性化をはかる)
  2. 軽作業期
  3. 重作業期
  4. 生活訓練期

以上を経て、自身へのとらわれから離れていく瞬間を経験します。症状の軽い人は、日記指導などの併用で外来でも行われます。

まとめ

わたしの経験から「自殺にいたる心理」の背景には、心理的な病気の存在があると思います。

心理療法の種類は多く、あらゆる状態に適した治療法があり必要ならお世話になるべきでしょう。

 

「1人で悩まないで」これはよく聞くセリフです

違うのです…

わたしの経験から、うつ状態の自覚がない時は「悩みの対象以外が目に入らない・考えられない」のです。

もっとカンタンにいうと「誰かに相談しようという選択肢がない」といえます。わたしもそうでした…

自分で「今の自分はおかしい」と気づくのが、最初の最大の1歩です。

こちらに、自分で心理状態がわかるチェックサイトをご紹介します(わたしも利用しました)

https://utsu.ne.jp/self_check/

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