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ココロのチカラ

知ってると役立つ!社会・人間関係での心理

今回は、社会で生活していくうえでの「人間関係での心理」について知ってると役立つことをお伝えします。

対人恐怖症

大勢の人の前で発言したり、入試試験での面接、舞台での発表などで、あがってしまって本来の実力を出しきれなかったという苦い経験は誰でもあると思います。これは極度の緊張から引き起こされる「あがり」の現象で、対人恐怖のひとつでもあります。

性格的には、真面目で努力家で、完全主義的傾向の強い人があがりやすいようです。

「あがり」が起こる理由

  • 他人に自分の醜態を見せたくない
  • 高い評価を得たいという隠れた願望がある
  • 要求水準が自分の能力以上に高いなど

あがりを防ぐには「ダメでもともと」「失敗したっていい」と開き直るぐらいのゆとりを持ち、リラックスすることが大切です。声が震えたり赤面しても、その状態から逃げない勇気を持ち、少しずつ改善していくことが大切です。

対人恐怖症

人前に出ると、妙に緊張したり不安を感じるだけでなく、相手に嫌われるのではないだろうかとまで考えてしまうようなら、対人恐怖症の傾向があります。

  • 赤面恐怖…人前に出ると顔が真っ赤になる
  • 視線恐怖…他人の視線を怖がって相手の目を見れない
  • 吃音恐怖…思うことを伝えようとすると言葉がどもる

以上のような症状は、家族のような親しい人間関係では起こらず、まったく知らない他人に対しても起こりにくいものです。むしろ、その中間に位置するそれほど親しくない知人との間で起こりやすくなります。

対人恐怖症になりやすい人は「相手が自分のことをどう思っているのか」「どう考えているのか」にいつも気を遣い、そのことに大変なエネルギーを注いでいることが知られています。

日本では西欧的な「個人」の確立がなされていないため、対人恐怖症は欧米人より日本人に多いという特徴もあります。自我の形成される青年前期から主に見られるのも「個」の確立と深く関わっているからだといわれています。

パーソナル・スペース

人は誰でも自分の体の周りにパーソナルスペースと呼ばれる他人の侵入を拒む、一種のなわばりをもっています。私たちは無意識に、なるべく他人との距離を保とうとしています。

アメリカの文化人類学者ホールは、人間の空間行動に関する研究をプロクセミックスと呼んでいます。彼は、日常生活の中で使われている距離には、大きく分けて次の4種類があるとし、さらにそれぞれの距離帯は近接相と遠方相とに分けられるとしています。

プロクセミックスによる対人距離

対人距離の研究から、人間は快適な個人空間(パーソナルスペース)を必要としており、自分の個人空間に他人が侵入してくると、反射的に防衛本能が働くことが指摘されています。

つき合いに応じてこの距離感を守れば、無用なトラブルを生むこともなく、スムーズな人間関係を保つことができそうです。

親密な人との密接距離

近接相(0~15㎝)

視線を合わせたり、においや体温を感じられるコミュニケーション距離

遠方相(15~45㎝)

手が届く距離で、やはり親しい2人が使う。電車などではこの距離まで他者が近づくとストレスを感じる。

相手の表情が読み取れる個人距離

近接相(45~75㎝)

どちらかが手や足を伸ばせば相手の身体に触れたり、抱いたり、つかまえたりできる距離

遠方相(75~120㎝)

両方が手を伸ばせば指先が触れ合う距離で、相手の身体をつかまえられる限界の距離。私的な交渉などではこの距離をとろうとする。

ビジネスに適した社会距離

近接相(120~210㎝)

相手の身体に触れたり、微妙な表情の変化を見ることができない距離。会社などで客と対応するときにとられる。

遠方相(210~360㎝)

顔の表情は見えないが、相手の姿全体が見えやすい距離

個人的な関係が希薄な公衆距離

近接相(360~750㎝)

相手の様子がわからず、個人的な関係は成立しにくい。自分の行動も目につきにくくなる。

遠方相(750㎝以上)

言葉の細かいニュアンスが伝わりにくく、身振りなどを通したコミュニケーションが中心となる。

握手戦術で人の印象は変わる

選挙では候補者が有権者と握手している光景を見かけますが、握手が1票に結びついているのでしょうか。

ある人を3つの方法で人に引き合わせ、その人についての印象を尋ねた実験があります。

目隠しをして握手だけをした場合

「温かい」「信頼できる」「大人らしい」「感覚が鋭い」などと評価されました。

話も握手もしないで見るだけの場合

「冷たい」「横柄である」「大人げない」などと評価されました。

目隠しをして握手をしないで話だけをした場合

「距離がある」「無感動である」「形式的である」などの評価を受けました。

以上の結果から、握手をして肌が触れ合うと、相手はその人に対して温かさや信頼感を持つことがわかりました。商談がまとまった時にする握手は、信頼感を与えるチャンスといえるでしょう。

パーソナルスペースは生理にも影響する

アメリカで行われた実験から、パーソナル・スペースは生理にも影響することが確かめられています。

「駅のトイレの混み具合と排尿」という実験は、次のような3つの条件のもとに行われました。

  1. 自分のすぐ隣で、他の人が排尿する
  2. ひとつ離れた便器で、他の人が排尿する
  3. 誰もいないトイレで、1人で排尿する

結果は、1の条件では排尿し始めるまでの時間が2と3の場合よりも長くかかり、排尿が終了するまでの時間は短くなりました。ところが、2・3ではほとんど時間差は見られませんでした。つまり、他人が隣で排尿していると、人は自分のパーソナリティ・スペースが確保できないので、それがストレスになって普段のペースで排尿できなくなるわけです。

皆さんも生活の中で、この状況に出くわすことがあるのではないでしょうか。集団生活のストレスが、身体に及ぼす影響についてわかりやすい例です。この点から私たちは、学校や職場、広くは社会という集団の中に所属する以上、相互的にストレスを与え合う存在であることは避けられません。なるべく、よりよい人間関係を築きストレスを減らしたいですね。

 本音を知る心理テクニック

人は毎日「喜怒哀楽」のあらゆる感情を体験しながら生きています。しかし、感情の定義は非常に難しく、心理学史上でもこれまでさまざまな理論が展開されてきました。

感情は身体に表出されて他人に伝えられます。その身体的な変化を「表情」といいます。表情はたいてい顔に現れたものを指しますが、ときには身振り手振り、あるいは体格なども含みます。また、表情には意識的につくられる「随意運動」と、外部刺激にともなって反射的に生ずる「不随意運動」があります。

随意運動による表情は、学習や経験を通して獲得される反応であり、文化に大きく影響されます。ウインクや挨拶するときのにっこり笑顔などは、ほとんど言語的な記号の役割を果たしているといえます。

不随意運動による表情には、生物学的な一定のパターンが見られます。エクマンの研究によると「幸福・驚き・怒り・嫌悪・悲しみ・恐れ・軽蔑」をあらわす7つの表情は、国や文化を超えて共通してるとされています。

表情から相手の気持ちを見抜くのは難しい

わたし達は相手がなにを考えているのか気になるときは、相手の表情から心理を読もうとします。しかし、かなり親しい人でも7割、親しくない人同士では6割度の正解率に過ぎません。

アメリカの心理学者シュロスバーグによると、感情は「快ー不快」と「注目ー拒否」の二次元で表現され、それぞれの感情は目や口を大きく開いたり、固く閉じたりする表情と対応するとしています。

また「楽しい・幸せ」と「怒り・決意」のように、まったく相反する表情を勘違いすることはありませんが、似た表情の「軽蔑」と「驚き」になると見分けにくくなるようです。

非言語コミュニケーション

感情や気持ちをしぐさや表情、あるいは視線などの非言語コミュニケーションによって表現することを「符号化」といいます。

たとえば「好き」という感情を伝えるとき

  • 相手に近づく
  • 視線を合わせる
  • 微笑むなど

以上の表出行動を駆使して感情を符号化します。そして相手は、それらの表出行動を「好き」という感情として解読します。この符号化と符号の解読が成功したとき、お互いの感情をよく理解することができたことになります。

言語は情報交換には力を発揮しますが、感情の理解には限界があります。感情の理解には、非言語コミュニケーションによる符号化と符号解読のほうが重要です。(一般的に女性が優れている、生まれつき優れている・優れていない人がいるようです)

瞳の大小で相手の本心を見抜く

表情だけでは相手の本心はわかりませんが「瞳孔の大きさ」つまり瞳の拡大縮小から、その人の本心を見抜くことができます。

瞳が縮小するとき

  • 興味がない
  • 嫌悪している

セールスマンの中には、この瞳の拡大縮小を利用し客の購買意欲を判断している人もいるようです。

視線の合わせ方で相手の性格を見抜く

人と話しているときの視線の動きは、言葉と同じくらい重要な働きをしています。その視線の合わせ方が、相手の性格を知る手がかりとなるようです。

打ち合わせの場面などで、相手と視線を合わせる回数が多い人は、親和欲求が高いといえます。親和欲求とは、他人と一緒にいたいという欲求です。

親和欲求が高い人の特徴

  • 自分の周りに人がいないと落ち着かない
  • 1人になることを嫌う
  • 女性に多くみられる
  • 周囲の人に気を遣う
  • 他人の影響を受けやすい
  • 依頼心が強い
  • 社交的である

相手の視線の合わせ方でその性格を見ぬければ、よりよい対人関係を築くことにつながるのではないでしょうか。

パランゲージ

言葉にともなって表出される情報、たとえば会話のよどみ・笑い・あくび・うなずきなどをパランゲージといいます。

言葉による情報自体は変わらなくても、言葉が発せられるときの声の調子や口調が不随するだけで、その人の人柄や気持ちの状態がよく伝わります。(あくび→退屈、うなずき→同意が得られたなど)

パランゲージを上手く活用できれば、コミュニケーションはもっと円滑になるでしょう。

印象の心理

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印象はたった一言で変わる

アメリカの社会心理学者のケリーは、人を紹介するときに使う性格特性を示す語が、印象形成にどのような影響を及ぼすかを調べるために、次のような実験をしました。

  1. 大学生に新しい教師が来ることを伝える
  2. 事前にその教師についての略歴・紹介文を配布する
  3. 紹介文は2種類「温かい」と「冷たい」という語を挿入し、それ以外は同じ文章にする

【実験結果】

「温かい」と記された紹介文を読んだ学生たちはその教師を

  • うちとけている
  • 社交的である
  • 人気がある
  • 親切である
  • ユーモアがあるなど

好意的な評価をし、クラス討論会を開催したところ56%の学生が参加し、積極的な討論を交わしました。

それとは逆に「冷たい」と記された紹介文を読んだ学生たちは、教師についてあまり好意的な評価をせず、クラス討論会にも32%の学生しか参加しなかったようです。

このような実験を重ねた結果、社会心理学者のアッシュは印象形成には色々な性格特性が均等に関与しているのではなく、「温かい」や「冷たい」などのある特定の特性が中心的な機能を果たしていると考えました。そして、そのような特性を持つ語を「中心語」といいました。

つまり「中心語」を上手く使用し相手に情報を与えれば、同じ情報であっても受け手の印象操作ができるというわけです。

対人認知

ある手がかりを通じて、他者の性格や態度を判断することを対人認知といいます。

新聞やテレビから得た情報をもとに判断することを「間接認知」といい、直接会ってその人を判断することを「直接認知」といいます。

対人認知は

  • 直接会ったことがあるのか
  • 間接的に知ったのか
  • それがいつのことであったのかなど

状況の違いで評価は変わってきます。

印象は言葉の順番でも変わる

アッシュは人物像を言いあらわす性格特性の提示順序によって、違った印象が形成されることを見出だしました。

「知的な→勤勉な→衝動的な→批判力のある→強情な→嫉妬深い」の順でこれらの刺激語を提示した場合『多少欠点はあるものの能力がある人物』との人物評価がなされました。

ところが提示する順番を逆にすると、その評価は『能力はあるが欠点があるためにその能力が発揮されない人物』に変わりました。これは前半に提示された語の印象に、後半の語の持つ印象が左右された結果と考えられます。

このように、最初に与えられた情報が後の情報に影響を及ぼすことを初頭効果といいます。

一方、後半に提示された性格特性が、前半に提示された特性より人物評価に強く影響することもあります。これを親近効果といいます。

ステレオタイプ

ある集団の成員全般に対して、良くも悪くも同じであると認知することをステレオタイプといいます。

例えば「イタリア人はおおらかである」「フランス人は美食家だ」などが例としてあげられます。しかし、実際は気の短いイタリア人や味覚音痴のフランス人もいるのです。

このようにステレオタイプ的な判断は、ある集団やその成員に対して過度に一般化したものの見方を強めます。ステレオタイプはいったん生起すると修正が難しく長く保存されてしまい、悪質な偏見につながりやすく社会的な問題となります。

悪質なステレオタイプを、安易に鵜呑みにしないように気をつけましょう。

認知的に複雑性が低い性格の人(人生経験が少ない、知識が少ない、他者の気持ちを推し量れないなど)は、他者を、良い・悪いの二値的な次元で極端に判断する傾向があります。

自分の印象をよくするには?

相手が持つ自分のイメージを「意識的にあるいは無意識的に操作しようとする試み」をセルフ・プレゼンテーション(自己提示)といいます。

日本では、本心と異なる自己を見せて他者を欺くという側面が強調されるせいで、表向きには受け入れられない風潮があります。

しかし、セルフ・プレゼンテーションとは本来、それを見聞きする人たちがある特定の結論を導くように発信する情報を、うまく編集することを意味しています。

つまり、自分が良いと思っていることをただ話すのではなく、相手の反応を常に計算しながら進めることがプレゼンテーションの極意なのです。

最終的に自分が「どのような印象を持たれたいのか?」を設定し、逆を辿りながら自分の性格特性を並べてみると他者を欺くことなく、効果的に良い印象を与えれるわけです。

ハロー効果

知名度の高い会社の役員、医者や弁護士など社会的地位の高い職種を肩書きとして持つ人は、それだけで立派な人格の持ち主だと捉えられる傾向があります。これをハロー効果といいます。

ハローとは、聖像を引き立たせるための像の後ろ側に飾られた光輪や後光のことをいいます。ハローで飾られると、聖像はますます立派に見えます。

このハローのように、その人の持っているある顕著な特性が、その本人をますます立派に見せたり、あるいは悪く見せてしまうこともあります。

相手の意見や態度を変えさせるテクニック

説得とは、相手の意見や態度を意図的なメッセージを送ることによって変えさせることです。この説得のための具体的な働きかけや過程のことを、説得的コミュニケーションといいます。

説得的コミュニケーションは、次の5つの要素で成立します。

  1. 送り手
  2. 受け手
  3. メッセージ
  4. 状況
  5. チャネル

そして効果的な説得には、専門知識や魅力も重要ですが、相手の反応に合わせた適切な条件を用意する事が大切になります。

ある心理学者は説得の過程を次の8段階に分けています

  1. 接触(DMやサンプルを送る)
  2. 注目(興味をもつ)
  3. 理解(商品説明などを読む)
  4. 承諾(特徴を理解し好感をもつ)
  5. 保持(商品を記憶する)
  6. 検索(買い物のときに思い出す)
  7. 決定(気に入った商品を探す)
  8. 行動(商品を購入する)

説得のテクニック

説得には、さまざまな形があり相手により、また内容にもよっても方法は変わるようです。

いくつかご紹介します。

逆転の説得(不利な条件は隠しておく)

相手が望む好条件で説得して了承を得たのち、本来の不利な条件を提示し承諾してもらう方法。

多少なりとも相手を騙すことになり、説得者は言葉巧みに弁明しなくてはなりません。これが出来なくてはトラブルのタネになるので、弁明に自信のない人は使わないほうが無難なテクニックでしょう。

使われる例…お見合いでの仲人さん

一面提示と両面提示

相手が自分と同じ立場・考え方なら、プラス情報だけを伝えることが効果的な説得方法になります。これを一面提示といいます。

相手が自分と違う立場なら、プラス情報だけを伝えることは、説得する側の利益を疑われかねません。疑われると説得者の意図と反対の方向に態度や意見を変えてしまうブーメラン効果を起こすこともあります。

このような場合は、最初からプラス面もマイナス面も伝えてしまうことが予防策となります。これを両面提示といいます。

  • 一面提示が向いている場面…薬の効能だけを伝える薬局での販売員の説明など
  • 両面提示が向いている場面…相手の知的水準が高い、自分とは意見が違う、物事を自分で決めたがる人など

説得的コミュニケーションが上手くいくかどうかは、説得者の信頼性も重要なポイントとなります。

接種理論(あらかじめマイナス面を伝えておく)

商品に欠点やマイナス面があるときには、最初の段階でそれを伝えた上で説得するようにするといいでしょう。これは説得の接種理論と呼ばれ、病気が蔓延しないように予防接種を行うのと同様の原理です。

欠点や短所は言いたくないものですが、あらかじめ相手に教えておいたほうが成約率も高くなる場合もあります。

参考例…B品の野菜(形が不揃い・曲がっているなど)なので安く販売されている

取り引き・交渉で役立つゲーム理論

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誰でも、取り引きや交渉では最大限の利益を得たいと思うでしょう。ゲームのプレイヤーが最も大きな利益を得るための最良の戦略を見出すことを目的とする理論にゲーム理論があります。

ゲーム理論は、数学者のノイマンや経済学者のモルゲンシュテルンによってはじめられた組み合わせの数学から発展した理論で、はじめは経済問題に関する理論として発表されましたが、人の意思決定にも適用できることから、心理学的研究に応用されてきました。

零和型ゲーム

2人の得点の和が常にゼロになるゲームです。

例えば、ジャンケンはどちらが勝っても負けても2人の得点はゼロになります。

  • 勝った方をプラス1
  • 負けた方をマイナス1
  • あいこはプラマイゼロ

通常のゲームは零和型ゲームとなり、選挙戦・市場占有率・軍事行動などもこの型として考えられます。

非零和型ゲーム

一方の得点がそのままもう一方の損失にならないゲームを非零和型ゲームといいます。代表的な例として囚人のジレンマゲームがあげられます。

アメリカには、共犯証言という司法制度が設けられている州があります。この制度では、共犯の1人が自白すると、自白した者は減刑されますが、黙秘を続ける共犯者はその分だけ刑が重くなります。

  • A 黙秘(3年)+B 自白(0年)=3年
  • A 自白(2年)+B 自白(2年)=4年
  • A 黙秘(1年)+B 黙秘(1年)=2年

2人とも黙秘すれば1年の量刑ですむが、相手が自白すれば3年の量刑になります…ここでジレンマに陥るというわけです。これが囚人のジレンマゲームで、非零和型ゲームの代表とされています。

非零和型ゲームは戦略の組み合わせによって、両者ともに利益を受ける「共栄状態」または両者ともに損失を被る「共貧状態」が生じます。これは国際間の軍事シュミレーションゲームとしても用いられています。

パブリック・コミットメント

公の場で自分の意見を発表すると、その意見に合った行動をしなくてはという心理が働き、いった通りの行動を起こす確率が高くなります。これをパブリック・コミットメントといいます。

セールスマンの誘導尋問にあい、ついつい「使ってみます」と言わされるのも、この効果を狙ったものといわれています。

リーダーシップについて

リーダーシップは、自分の役割や立場・環境によってつくられることがあります。

例えば小学生の頃、リーダーシップがなかった児童でも、リーダーの役割を担わされるとリーダーらしい行動をとるようになり、クラスの中での地位が上がった経験があるのではないでしょうか。

これは子供だけに限らず、社長になった人は社長らしく・管理職になった人は管理職らしくなるのです。私たちはリーダーとしての意識を持って行動しているうちに、自然とリーダーシップを身につけていくといえるでしょう。

リーダーシップとPM理論

社会心理学者の三隅二不二氏は、リーダーシップの機能をPM理論で捉えています。

  • 目標達成機能(P機能)…集団の目標を達成するために計画を立てたり、メンバーに指示や命令を与えたりする行動
  • 集団維持機能(M機能)…メンバーの立場を理解し、集団内に友好的な雰囲気をつくったり、集団の結束を維持し、強化するリーダーの行動

リーダーがこれらの要素を多く持っている場合をP、M、少ない場合をp、mとし、4つの類型に分けられます。一般に、集団の生産性やメンバーの満足度はPM型リーダーのもとで最大となり、pm型リーダーのもとでは最低になることがわかっています。

PM型リーダーはあくまで理想であり、普通はPとMのいずれか一方が疎かになるのが人間的です。ですから、皆さんがリーダーの立場についているならば、状況に応じて仕事中心に行動するか、人間関係中心に考えるかを使い分けることが必要です。

重要なプロジェクトの立ち上げでは仕事中心の強力なリーダーシップ(P型)を発揮し、仕事が軌道に乗り順調に進み始めたら人間関係に配慮(M型)することを忘れてはなりません。

状況に応じてPとMを使い分けるのが理想的です。

リーダーシップ4つの類型

  1. P型タイプ…仕事一筋で出世したい、金持ちになりたいと望んでいる「猛烈派」
  2. M型タイプ…レジャー志向の「遊び派」
  3. PM型タイプ…仕事第一だが、家族も大切にする「勤勉派」
  4. pm型タイプ…地域社会の活動やボランティア活動を重視する「仕事ほどほど派」

人心掌握術の極意は公平性

モンゴルの英雄チンギスハンは、部下の人心掌握術に優れた手腕を発揮したことで知られています。彼は戦いの中で、しだいに臣下の者を増やしていきました。

彼は戦利品を独り占めしたり、直属の配下に優先して与えたりせず、各人の貢献度に応じて報酬を分配する公平分配にこだわったようです。

これとは逆に、働き具合に関係なく各人が等しく同額の報酬を受け取る方法を平等分配といいます。

人間は自らが投入した労力・賃金・知識などと、それに対する報酬として自らに分配された評価や処分などとの釣り合いを気にします。

したがって、きょうだい間や学校、職場などで不公平感が生まれるのは、同じ状況下で行動し、他人の仕事ぶりとその結果与えらた評価や報酬の割合が、自分と比べて不当に多い場合や、逆に少な過ぎると感じた場合だといえます。

公平理論を提唱したアダムスによれば、不公平感が生じた場合、人間は自らの労力とその結果の割合に見合うように、労力を減らすように手抜きをするようになるといいます。

ですから、親や上司としての立場にある人は、きょうだい、部下の働き具合に注目し、それぞれが十分に納得するような評価を下すなり、報酬を与えることが大切です。

会議で使える心理

会議や話し合いで座る席で、参加者の気持ちが反映されていることが多いといわれています。

② ❸ ④

① テーブル ①

② ③ ④

例えば上の図のようなテーブルの場合、①❸はリーダーの席といわれています。会議のリーダーシップをとりたいと思う人は、積極的にこの席を選びます。

また、リーダーが決まっている場合は、参加者はこの席に座るのを避けようとします。

  • ①の特徴…課題の解決に主眼を置き、討論を引っ張っていくタイプのリーダーが好む席
  • ❸の特徴…参加者との対人関係を重視するタイプのリーダーが好む席
  • ②と④の特徴…会議に積極的に参加したくないと思っている人は、目立たない席を選ぶ傾向がある

公式の会議では①の席にリーダーが座り、❸③の席にサブリーダーや腹心の部下を座らせると議事がスムーズに進行するようです。

また、全員参加型の会議では、❸の席にリーダーが座ったほうが活発に進行するといわれています。

スティンザー効果

小集団の生態を研究していたスティンザーは、会議などの集団行動の中にいくつかの興味深い現象を見出しました。

  • かつて口論した相手が会議に参加している時は、その相手の正面に座りたがる
  • メンバーの発言が終わったとき、次に発言する人はその意見の賛成者ではなく反対者である場合が多い
  • リーダーシップが弱いときは、メンバー間の私語は正面に座っている者同士で起こり、リーダーシップが強力なときは、隣り合う者同士で私語が交わされる

スティンザー効果から学ぶこととして以下の事が理解できます。

  • 会議のとき、自分の正面に座った人の言動に注意する
  • 味方の発言の後には、反対意見が出る前に援護射撃する

会議や交渉を有利に進めるのは美味しい食事

美味しいものを食べることは、それだけで実に幸せな気分になる体験です。美味しい食事の体験は、後日、食事中のさまざまな記憶と結びついて再生されます。その結果、美味しい食事をした後は、食事を共にした人々や、そのとき交わした会話までがよい印象としてよみがえります。

これを連合の原理といいます。

連合の原理を利用して、軽い昼食(ランチョン)をとりながら会議をしたり、交渉ごとを有利に進めようとすることをランチョン、テクニックといいます。

政財界で高級レストランや料亭で会合は有名ですよね。美味しい食事には意味があるのです。

バンドワゴン・アピール

祭りを盛り上げるために、にぎやかな笛や太鼓の楽隊を乗せて練り歩く車をバンドワゴンといいます。派手な楽隊の音が近づいてくるだけで、気分は高揚して街は祭りのムード一色となります。これにならって、人の心を掌握するために派手なアピールで周囲を盛り上げることをバンドワゴン・アピールといいます。

国会中継でも、オーバーアクション気味に賛成の声や拍手で同意を促したりする光景が見られます。

会議でも応用できるかもしれませんね。

商売の心理

商売をする人ならば、1人でも多くの顧客をつかみ、ひとつでも多くの商品を売る努力をしていることでしょう。ここでは、商売のウラにあるさまざまなテクニックについて、心理学的に解説していきましょう。

同調行動

大勢の人が集まった場合に起きる、他人の言動に同調しやすい現象を同調行動といいます。

同調行動を利用した商売のシチュエーションは

  • バーゲンセール
  • 先着◯名様のみ!

以上のような「急いで買わなくちゃ!」と思わせ、購入できれば優越感を抱ける状況です。

「高額なものは良い品物だ」という心理

「高額なものは良い品物だ」の論理は、マーケティングの分野ではよく知られた現象です。心理学的に考えてみましょう。

例えば、ある食物商品で30円値引きと、100円値引きの2つがある場合、意外にも30円値引きの商品のほうが売れます。その理由は、ものの価値がよくわからない場合、あまりに安すぎると人は他人から「絶対に買うべきだ!」と選択を強要されてる気分になります。

こうした圧力を感じた人は、脅かされた行動の自由を回復しようとして、勧められた行動(100円値引きの商品を購入する)をあえて敬遠しようとします。

安すぎる商品は、逆に購買行動を敬遠させる原因となるのです。

コントラスト効果

不動産会社や自動車メーカーの営業がよく使う、最初に高めの商品をおすすめしておき、次に安めの商品を提示する方法をコントラスト効果といいます。

また、叱責した後にプレゼントをあげるなど、批判した後に好意を伝えることもコントラスト効果の原理にかなった作戦です。

悪徳商法のウラにある心理効果

悪徳商法には、さまざまな心理法則が働いています。それらをご紹介します。

  • 有名人やマスコミを利用し、その社会的な信用を自分たちの会社の信頼性に置き換えさせる光背効果(ハロー効果)があげられます。ハロー効果については先ほど述べました。
  • 人のコンプレックスや弱味につけ込む方法
  • 契約が成立しないと会社で罰(ムチ)を受け、逆に成功すれば大金(アメ)が手に入るという、セールスマンへの条件づけの原理による教育。
  • セールスマンが、客を騙しているのは上司のいいつけだからと責任転嫁する服従の心理原則も働いています。

以上のように商売と人間心理の関係は深く繋がっています。

広告宣伝の心理効果

テレビを見ていると、1日に同じCMが何度も繰り返し放映されています。何度も見ているうちに、なんとなくそのCMの商品がよさそうだなどと感じ、店に行ったときに類似商品の中から無意識にその商品を購入した経験がありませんか。

この人間心理を熟知性の原則といいます。

社会心理学者のザイアンスにより、人でも物でも、見たり聞いたりする回数が増えるにつれて、その対象に対する関心や好意も増加するという熟知性の原則が明らかにされました。

街頭の広告塔やCMソングなどは購買意欲へつなげるための効果的手段といえます。

面白い宣伝は視覚的に選別され、瞬きの回数が減ると心理学で立証されています。

短いCM時間の中でドラマ性やシリーズ性を持たせ、興味をひくように工夫されたものも増えています。

(例、ソフトバンクやauのCMなど)

「いじめ」の心理とは?

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子供同士のいじめの背景とは?

学校内における子供同士のいじめが社会問題となっていますが、いじめが多発化したのは1985年前後からです。

その原因には、校内暴力への対策として、学校が生徒への支配的・管理的な指導を強化したことがあげられています。結果、校内暴力は減少しましたが、子供の欲求不満がいじめへと向けられ、陰湿化したのではないかといわれています。

2020年現在では、ITの進化が進みスマホを子供も持つようになり、陰湿化がさらに進んでいる印象を受けます。

もう1点考えられるのは、今の子供たちの対人関係の訓練不足もあげられています。少子化により家庭の中で自分の主張が通りやすくなった結果、家から一歩出ると自分の欲求を我慢できない子供が増え、限度をわきまえないいじめ方が多くなっているのではないかといわれています。

統計によると、いじめの発生数は一般的には小学校では学年が上がるにつれて増加し、中学・高校では学年が上がるにつれて減少しており、中学1、2年生の頃が最も危険な時期といえそうです。

いじめの問題は、受験や塾通いなどによる生活上でのストレスが子供たちに増えているという社会的背景とは別に、文化や生活習慣の違いや、性別・年齢などによる差別とも関係があり、とても根深い問題だといえます。

「いじめる心理」と「いじめられる心理」

いじめるという行為には、他人に心理的・物理的苦痛を与えることで満足を得るというサディズムの心理がひそんでいます。

例えば、子供たちが「むかつく」という理由でいじめ、いじめた結果「すかっとした」というのは、こうした心理で説明できます。

いじめる心理と行動は、徒党を組むことで強化されます。

集団心理の危険性について、詳しくはこちらをご覧ください

集団心理の怖さやメリット 集団における人の感情の変化について

 

いじめられる心理は、人格全体を否定された屈辱感を味わうことになります。いじめられた子供は誰にも相談できないまま追いつめられ、不登校や自殺を考える可能性もあります。

ただし、いじめる側には「いつ自分がいじめられるほうに回るか」という不安から、いじめをエスカレートすることで、その不安を打ち消そうとしている場合もあるようです。

「いじめる心理といじめられる心理は表裏一体」であるので、いじめが始まりそうな雰囲気がある場合、いじめ側に回ることも危険といえます。

わたしが中学2年生の頃、いじめの現場を目撃した経験があります。そのいじめの発端は、遊び的なからかいの印象でした。そのからかいや冗談がエスカレートし、最終的にいじめられた側は不登校になりましたが、そのいじめは学校に告げられクラス内で解決されました。

そのいじめの雰囲気は、先ほども述べた通り、いじめてる側も自分達では歯止めが効かない様子で、いじめを制止するには大人の介入が必須であると今は思います。

恋愛の心理

恋愛感情を芽生えさせるコツがある?

恋愛感情に発展しやすい有名な事に吊り橋効果があります。吊り橋を渡るさいに恐怖心により動悸がはやくなり、一緒にいた異性を魅力的に感じるということです。

吊り橋効果は、スポーツやジェットコースターなど生理的な興奮とも関係しており、遊園地がデートスポットになるのが理解できます。

ロミオとジュリエット効果

「引き裂こうとすればするほど愛は燃え上がる」この言葉も有名です。

恋愛感情の強さを規定する要因を調べたところ、親が妨害した(している)と感じているカップルほど、お互いの恋愛感情が強いという相関関係が見られます。トリスコールはこの現象をシェークスピアの名作を引用してロミオとジュリエット効果と名付けました。

ロミオとジュリエット効果は恋愛関係にだけ見られるわけではなく、加入することが難しいクラブなどの方が魅力的に感じるというアロンソンとミルズの実験結果もあります。

青年期は一目惚れが起こりやすい?

青年期に生まれる恋愛感情には、いくつかの特徴があります。青年期は、心臓や血管などの循環機能も未発達で、性的成熟にともなう生理的変化が起きやすい時期です。少しの刺激で、鼓動が早くなったり、赤面したりします。また、性ホルモンの分泌も盛んになるため、性衝動も高まりやすくなるといわれています。

このような生理現象は、これまでにない経験であるため本人には原因がわからず、ドキドキした相手を好きだと思い込んでしまうようです。

青年期の恋愛が「恋に恋する、一目惚れ、片思い」などの形をとりやすいのは、このためと考えられます。

単純接触の効果

人は他人と単純な接触を繰り返すだけで、その人に対して好意を持つようになる単純接触の効果があります。

しかし、単純接触の効果が正しく機能するには、初対面の印象などが悪くないことが前提となり、好意を得るために何も考えず会おうとしても、最初の印象が悪ければ嫌われるだけといわれています。注意しましょう。

カップルの関係性

街で通り過ぎるカップルを観察していると、美女と野獣のような魅力のかけ離れたカップルよりも、互いに魅力の似通ったカップルの方が多く感じます。

このように釣り合いのとれた人同士が結びつきやすいことをマッチング仮説といいます。

その理由としては、自分より魅力がある相手には断られるかもしれないし、逆に自分より魅力のない相手では本人のプライドが許さないからだといわれています。

結婚するカップルは興味や性格が似ていることが多く結婚相手を選ぶ場合には、相手と自分がどの程度似ているかをチェックするのをおすすめします。

結婚から3年経つと女性は幸福でなくなる?

アメリカの心理学者ターマンは、結婚生活に関する幸福度を測定しました。その測定方法で日本人の結婚生活の幸福度について調査しました。

  • 結婚直後の幸福度…夫<妻
  • 結婚して3年の幸福度…夫>妻
  • 結婚して6年以降の幸福度…夫婦ともに高い
  • 結婚して12〜14年の幸福度…最高(以降低下)
  • 結婚して21〜23年の幸福度…妻にとって最低になる

愛が憎しみに変わる瞬間は突然やってきます。このように相反する感情が突然入れ替わる心理を、心理学では「カタストロフィー理論」といいます。

カップルは似た者同士ならよいというものではない

似た者同士がカップルになりやすいことはわかりましたが「似ていればよい」というものではないようです。

一般的に「態度や性格が似ている相手に惹かれる理由」として

  • 相手から同意を得やすいこと
  • 無用なケンカをせず一緒に活動できること
  • 相手の行動が予測しやすいこと

以上の点があげられます。

ウィンチによる調査によると、支配と服従の欲求次元に関して違いかま見られるカップルの方がうまくいくことがわかりました。

つまり、どちらかが威張りたがり(支配的)で、もう一方が従順(服従的)であるほうがうまくいくようです。

このように違う特性を持った者同士が補い合ってうまくいくことを相補性といいます。

以上の点をまとめると

趣味や意見は似ているが、性格が異なる(支配服従の関係)相手とうまくいくといえます。

 

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